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⺠間会費による都市再⽣推進法⼈であるMDCがアーバンデザインの可視化プロジェクトとして本件を提起。これに地元財界団体「太陽の会」が寄付決断、市・MDC・地権者が都市利便増進協定を結ぶことで公共空間(遊歩道公園+市道200m)の⺠間整備が可能となった。30もの地権者が協定に加わった稀有なケースであり、この協⼒が通りの市⺠⾃治的管理を可能にしている。
⼯事竣⼯がゴールではなく継続的美観管理と賑わい創出が重要でそれを「⾺場川通りを良くする会」が担っている。このまちづかいの当事者がデザイン・設計チームとの対話や社会実験を繰り返すことで、デザインからまちづかいがシームレスに繋がり「前橋らしい」空間を実現している。こうしたプロセスの成果として、意匠・安全性・快適性・維持管理容易性をバランスできている。
整備前 : 整備前平⾯図 S=1/1,200 整備後 : マスタープラン S=1/1,200
設計開始から⼯事完了までの3年間を使い、地元市⺠を巻き込んだ勉強会やワークショップに加え、社会実験や⾒学会を継続的に⾏い整備後の運営体制を徹底的に議論してきた。
その成果がエリアマネジメント組織「⾺場川通りを良くする会」へと発展。かつては⽔路(準⽤河川)・遊歩道(公園)・道路(市道)に分かれていた管理窓⼝を市街地整備課に⼀本化し、円滑な官⺠連携体制を構築することで、市⺠の意志が反映しやすい活動の舞台がまちの中⼼に整えられている。まちびらき後には毎⽉の⼩さな企画として「ボードゲーム⼤会」や前橋産バラの販売会「Poppin Rose Market」が定着化されつつあり、2024年5⽉からは維持管理活動の⼀環としてごみ拾いを⾏い、その後コーヒーを飲みながら参加者がゆるくつながる「CCC(Cleanup & Coffee Club)@前橋⾺場川」も始まり、ハード整備で終わらないソフト事業も⼀体となった⺠間が主体のまちづくりを進めている。
明治時代から戦前にかけて、前橋市街地に近代的なまちなみ整備にレンガは⼤きな役割を果たしてきた歴史があり、その様⼦は現在でも上⽑倉庫や安⽥倉庫などからうかがい知ることができる。そんなレンガの歴史を継承して、近年、前橋市ではレンガを使った広瀬川河畔緑地など歩道や⾞道にもレンガを使った整備が⾏われてきている。本プロジェクトでもこういった動きと連動し歩⾞道を⼀体的にレンガで整備するなど⽂化の継承に取り組んでいる。また、まちの⽊質化の取り組みとして、トレーサビリティの観点から国産材を使⽤してベンチやデッキ、公衆トイレの外装材とした。薬剤を使⽤しない耐候性処理を施した⼈にやさしい安⼼安全な⽊材を選定している。
前橋では江⼾末期に前橋城の再建を⺠間⼈が担い、明治期には⾼崎から前橋に県庁を地元有⼒者が誘致するなど、市井の声を官⺠が連携して実現してきた⽂化がある。この象徴が⾺場川プロジェクトそのものであり、寄付による公衆トイレや記名レンガである。その存在が、前橋が⽬指すべき社会的包摂性を明⽰している。
世界的デザイナーであるジャスパー・モリソン⽒のデザインにより、⾺場川通りの起点に位置する公衆トイレの建替えを⾏った。トイレ機能以外にもポーチや倉庫、既存地上機のカバーなど通り全体に寄与する機能を備えている。構造は⽊造、また外壁材には⽊材を使⽤することで、脱炭素化を考慮した持続可能なまちづくりを⽬指した。
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